2008年11月06日

世界NGO湿地会議の様子

多くのことを学んだ5日間の後、世界NGO湿地会議(スンチョン)にたどりつきました。
(最初の5日間については後ほどアップします)

世界の重要な湿地保全に関する国際条約「ラムサール条約」の締約国会議が、2008年10月28日から11月4日まで、韓国の慶尚南道・昌原(チャンウォン)のコンベンションセンターで行なわれました。以下COP10(Conference of the Parties; COP)と略します。本エントリはそれに先立ち順天(スンチョン)で開催された世界NGO湿地会議の様子の報告です

開催国である韓国のNGOメンバーや、その隣国として関係を築いてきた日本のNGOメンバーが多数参加(31カ国、400名以上)。1日目は普及教育活動に関するセッションや、各地域における保護の現状や問題点、ウェットランドの賢明な利用についての事例報告が行なわれました。JAWAN(日本湿地ネットワーク)からは日本の3大問題である諫早湾、泡瀬干潟、上の関の抱える問題に関し発表がありました。翌日は 「世界NGO湿地委員会:各国のNGOや草の根の市民グループが、ネットワークを作って世界NGO湿地委員会を形成し、ラムサール条約の国際団体パートナーとして、条約事務局と各締約国に認めてもらうこと」が最初の議題。そして もう1つの議題は、今回の世界NGO世界湿地会議の宣言を採択すること。これは「順天NGO宣言」と呼ばれ、起草委員会による原案が検討されました(この「順天NGO宣言」は、ラムサールCOP10の本会議が始まる10月29日に、韓国のNGOから発表されました)。

詳しくは表浜ネットワークのブログと、WWFジャパンの「世界NGO湿地会議の報告」の「市民参加の重要性」「NGOとしての発言力を高めていく」をご覧ください。

「順天NGO宣言」に関する議論を進めていく中、宣言文本文の中に個別の地名を入れるかどうかが大きな問題となりました。前日に日本のNGOから「宣言文本文に、危機に直面している例として『泡瀬干潟、諫早湾、上関』と具体的な地名を入れて欲しい」と要望があった件についてです。さまざまな意見、例えば「国際条約の場で相手に書類に目を通してもらうコツの1つとしては短くシンプルに伝えたい要点だけを書くこと。冗長に書いても目を通されずに終わる」「世界中で危機に晒されている干潟を全て取り上げられていたらキリがない」「日本でどこか1つ重大な危機に直面している干潟をあげるとしたら諫早だろう」「どこか1つの地名をあげるとしたらセマングムではないのか」「本文は出来るだけ短い方が良い。問題となる湿地は付属としてリストを添付してはどうか」などの意見が出され、極力、本文を短くする方向で意見が一致しかけたときに以下の発言がありました。

韓国での最大級の干潟開発事業であるセマングム(40,100ha,諫早湾の11倍の規模)の保全活動を続けているチュ・ヨンギ氏の声です。

「国際会議の場だから文章はシンプルに、という話はわかる。リストを添付するというのもひとつの方法ではあるだろう。韓国政府はCOP10を誘致した。しかし韓国政府からは湿地保全に対する誠実さが感じられず、永久に湿地を葬り去ってしまう計画をたくさん持っている。私たちはNGOの立場からここまでCOP10開催の準備を本当に大変な思いをしながら進めてきた。長い道のりをここまで来たのだから、私たちはセマングムという名前を本文に入れて欲しい。この状況を何とかしたい。そしてこの想いは沖縄からきたみなさんにとっての泡瀬であり、諫早の人たちの想いでもある。どうか私たちのこの想いを汲んで欲しい。」

会場から大きな拍手が沸きあがりました。チュ・ヨンギ氏の声により現場で活動するNGOが国境を越えて同じ想いを共有することが確認できた感動的な一瞬でした。現場で活動する人たちの想いは同じ、国が違っても言葉がわからなくても、自分の大事な活動の場を取り上げて欲しい、のです。最終的にはCOP10開催国であり危機に直面している最大級の湿地の代表例としてセマングムの名前のみが本文に記されることになりました。そして世界の他の問題のある湿地は添付リストとして後から提出されることになりましたが、会場にいる聴衆の心が1つになった瞬間を私は忘れることはないでしょう。







この記事へのトラックバックURL

http://shark.ti-da.net/t2397690
この記事へのコメント
大変お疲れさまでした。
会議でのやりとり、感動的です。心をひとつにして守るべきもののために参加者みんなが力を注いだ結果です。私たちのこれからも、そうありたいです。
ここ沖縄でも・・・。
Posted by ま~め at 2008年11月12日 13:13
ま~めさま

>ここ沖縄でも・・・

ほんとうに・・・
Posted by さめ at 2008年12月21日 20:38
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません